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7)調味料・香辛料

ガピ(กะปิ)

タイの発酵エビ味噌「ガピ」

「オキアミ」というごくごく小さなエビを塩漬けし、発酵させたタイの調味料「ガピ」。このボトルのラベルにあるように「シュリンプペースト」とも言われ、発酵食品ならではの独特な強い香りがします。ただニオウだけではなく天然アミノ酸を含むため、しっかりとしたうまみもあり、タイ料理には欠かせない調味料の一つです。

「ガピ」は東南アジア各国共通の呼び名らしいです。

「ガピ」という言葉はビルマ語の「 ငါးပိ ( ngapi )」に由来するそうで、ビルマ語では「魚のマリネ」的な意味だとか。

さらに、表記は違えどラオス、カンボジア、インドネシアでも「ガピ」と呼ばれているようです。マレーシア、ベトナム、フィリピン、中国の福建省でも呼び名こそ異なるものの、同じ調味料が使われているんですって。これは興味深い。いつか「ガピ」にフォーカスして、ガピを使ったお料理を食べ歩く旅とかしてみたいなぁ。

「ガピ」の代わりに「アンチョビ」か、「アンチョビ」の代わりに「ガピ」か。

さて、この「ガピ」ですが、タイ食材店や、輸入食材を取り扱うお店が近くにあるなら別ですが、普通はなかなか手に入りにくいものかと思います。

以前、あるタイ料理の先生から「ガピが手に入らなければアンチョビで代用してもよいですよ」と教えていただきました。でも、タイ料理を日常的に作る我が家の冷蔵庫には必ずガピが入っています。ということで発想の転換。以来私は、レシピに「アンチョビ」とあったら、その代用品として「ガピ」を使っているのですが、割といけますよ。

ガピはこんなタイ料理に使います。

オキアミの目が見えますね。黒い点々がそうです。このことから、タイ料理好きな友の一人はこのメーカーのガピを「目玉のガピ」と呼んでいます。という超個人的な話題はさておき…。

ガピはタイカレーペーストの原材料の一つです。身近にタイカレーペーストがある方は裏面の表記をご覧ください。他には各種ディップ(ナムプリック)だったり、スープだったり、炒め物に加えることもあります。

個人的に「ガピを使ったタイ料理」と聞いて一番に上げたいのはこちら、料理名にも「ガピ」とあるタイ式の混ぜご飯。ガピの味がほかのどのタイ料理よりも前面に出ていて、かつ美味しく味わえるヒトシナかと思います。激しくお勧めしたいタイ料理です。とはいえ、これを食べることのできるタイ料理店って、なかなかないんですよね(涙)。

私が仕事帰りにサクッとおいしいタイ料理を食べたいときに立ち寄る「ハンサム食堂」さんでは、ごくたまーにこのカオクルックガピを出してくれますので、そのチャンスに巡りあえましたらぜひ、逃さず食べてくださいませ。

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タマリンド(マカーム/มะขาม)

この木、何の木、タマリンドの木。

タマリンド(答満林度[1][2]、羅望子[2]: tamarind、学名Tamarindus indica)は、マメ科ジャケツイバラ亜科[注 1]タマリンド属の常緑高木。タマリンド属で唯一の種である。果実が食用になる。別名チョウセンモダマ(朝鮮藻玉)。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本では全くといってよいほど馴染みのないタマリンド。私はこのタマリンドなるものと瓶詰めペーストの形でまずインド料理で出会い、その後タイ料理教室でこちらのタマリンドとご対面しました。

このパッケージに描かれた茶色いさやがタマリンドですが、タイではこの実をお菓子などに加工して食べてもいます。食べすぎるとおなかの調子がよくなりすぎるので要注意ですが、あればついつい食べてしまうシロモノです。

タマリンドの使い方

上のタマリンドのパッケージを開けると、このようなかたまりが4つ入っています。これをちぎって、必要量加えるお料理も時々ありますが、多くは水に浸し、ふやかして液状にしたものを使います。

タマリンドの3倍量の水を加えてしばらく放置し、マッシャーでガシガシつぶして液状にしたものがこちら。

それを味噌漉しでこして、種その他の余分なものを取り除けばできあがりです。

タマリンド液を使いたいときにササっと使えるようにする保存方法

タマリンド液を作るのはまぁまぁ時間がかかります。しかも使いたいのは「20g」とか「30g」とか割と少量。それをその都度作るのは面倒なので、私は出来上がった液体をこうして製氷皿に流し込み、固めたものをジップロックに入れて保存しています。1個30gなので、必要な分だけを切って(タマリンドは氷のようにガチガチにかたまることはありません)使っています。便利。

ただし、冷凍庫は万能ではありませんので、この状態で半年、一年と保存することなかれ。あくまでも「タイ料理をよく作る人」向けのおすすめ方法です。


タマリンドを使うタイ料理

タマリンドを使うタイ料理といって私がまず思い浮かべたのがこちらの「パッタイ」。お好きな方も多いのでは。このパッタイに欠かせない「パッタイソース」なるものにタマリンドがしっかり入ります。

それからイサーンのソムタム、「ソムタムプーパラー」にも。

それから、私の大好きなタイ北部のスープ、パッカージョー(จอผักกาด)にもタマリンド、入りますよ。そうそう、最後に。

イサーンのハーブ鍋、チムチュム(จิ้มจุ่ม)に添えるナムチム(つけダレ)もタマリンド入り。

タイ料理にまろやかな奥深い酸味を添える食材、タマリンドのご紹介でした。

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プリックチーファーヘン(พริกชี้ฟ้าแห้ง)

タイの乾燥唐辛子

タイでは70を超える種類の唐辛子が栽培され、食されていると聞きますが、その中でも多くの人にとって馴染みがあり、タイ料理に欠かせない唐辛子の一つがこちらのプリックチーファーヘンかと思います。

「プリック(พริก)」は「唐辛子」、「ヘン(แห้ง)」は「乾いた」という意味。「チーファー(ชี้ฟ้า)」はGoogle先生によると「空に向かって」という意味だそうで、想像するにこの唐辛子が実った時の様子からきているものと思われます。

この唐辛子を使う際の下準備

この唐辛子を使う際にはまずこうして実を開き、

中の種や筋をきれいに取り除きます。

その後数ミリ幅に切り、こうしてしばらく水につけ、柔らかくします。

最後に水気をぎゅっと絞って石臼へ。あとはこれをひたすら叩きましょう。

タイ料理の赤系ペーストには欠かせないプリックチーファーヘン

タイ料理には様々なカレーペーストが存在しますが、赤い色をしたペーストにはほぼこの唐辛子が使われている、といって過言ではないでしょう。

前述したようにまずこの唐辛子のみをひたすら叩き、滑らかになったところで他の材料を水気の少ないものから順に加えていき、クロックでさらに材料を叩いてつぶしてペーストを完成させます。

とまあね、書くのは簡単なのですが、これが作るとなるとかなりの労力と精神力を要します。気分よくタムタム材料を叩ける日もありますが、私の場合、遠い眼をして叩いていることの方がおおいです。そうそう。何か忘れてしまいたいことがある日にももってこいですよ、この作業。

…と話が横道にそれてしまいましたが、今回はタイ料理に欠かせない大切な食材の一つ、プリックチーファーヘンのお話でした。

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木棉のガク(ドークギュウ/ดอกเงี้ยว)

北タイ料理で使われる特徴的なスパイスの一つ、 ดอกเงี้ยว 。

北タイ料理には様々なスパイスが使われます。東北や中部、南部では使わないようなものもちらほら。その一つがこちらの「 ดอกเงี้ยว 」です。発音をよく聞くと「ドー(ク)ニィャオ」と聞こえる気が…もうタイ語をカタカナで表現するとか無理。

この「ドークギュウ」は「キワタ」という花のガクの部分を乾燥させたもの。「キワタ」は中国や台湾にもあり、その花を市花としているところも複数あるようです。また花はお茶として楽しむそうなので、おそらく中華圏ではこれを食す文化を持つ地域があるのではなかろうか…と推察しています。

ドークギュウの食べ方。

北タイ料理でこのドークギュウを使った料理といって思いつくのはこれです。

私の好きなタイ料理の一つ、カノムチンナムギョウ。

カノムチンナムギョウについては、ひとまず上の記事を見ていただければと思うのですが、チェンマイでは専門店や屋台などもあって、あちらこちらで手軽に食べられます。

その中に入る食材の一つがこのドークギュウ。味は…というと、実はあまりありません。しかしこれ、食べる事ができまして、噛むとシャクシャクした独特の歯触りがあり、なかなか癖になります。

滋養強壮、利尿、解熱など様々な効能があり、胃炎や下痢にも効く…と説明してあるページも見つけたので、漢方の世界から何か情報が得られないか、調べてみようと思います。(分かり次第追記します!)

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プリッキーヌ(พริกขี้หนู)

タイ料理にマスト!な唐辛子「プリッキーヌ」

プリッキーヌはタイで栽培されている唐辛子で、数十種類ある唐辛子の中で最も辛い部類に入るものです。タイ語で唐辛子のことは「プリック」と言いますが、「キー」は糞、「ヌ」はネズミという意味。直訳すると「ネズミの糞唐辛子」となります。

本来は2~3センチ程度と小さいものなのですが、日本に空輸されている冷凍品はこのように…

非常に大きいのです。日本でも最近タイ野菜を作る農家さんが増えていて、フレッシュなものが手に入る時期はできるだけ新鮮なものを使うようにしています。それが難しい時期は、「これ本当にプリッキーヌかなぁ。」と思いつつも、こちら冷凍品のお世話になっています。

プリッキーヌを使ったタイ料理あれこれ。

1)炒めて旨し。

プリッキーヌはこうしてニンニクとともに石臼で潰し、炒め物のスターターになります。部屋中に漂うプリッキーヌの成分に咳き込むこともしばしばですが、このプリッキーヌの入った炒め物が抜群に美味しい。

カオパットクン
豚肉のガパオ炒め
パッキーマオにもプリッキーヌは必須!

2)生のままで旨し。

プリッキーヌは叩いたものをそのまま使いもします。例えばソムタム。それからヤム各種にもプリッキーヌは欠かせません。

ヤムヌアアグン
ヤムウンセン
ヤムカイダオ

このタイのヤムの「甘酸っぱ辛さ」、すっかり癖になってます。

3)飾って美し

プリッキーヌはその美しい赤を生かし、飾りとして添えても素敵。もちろん食べてもOKです。っていうか、食べるものです。ただし、辛さ耐性がまだ十分に備わっていない私は、食べたり食べなかったり…という状況ですが。

そうそう。以前横浜のタイ料理屋さんに行った際、注文したお料理にはこんなにターンとプリッキーヌが盛られてきました。

タイ人の店員さん曰く、「私はそれかじりながら一緒に食べるよ。」とのこと。強いわー。

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シーズニングソース

タイ料理に欠かせない調味料「シーズニングソース」

私がこの「シーズニングソース」なるものと初めて出会ったのは、実はタイ料理ではなく香港料理を習った時でした。油を加えたお湯でサッと茹でたレタスに、このシーズニングソースをかけただけなのに、その美味しいことといったら。しばらくはまって、週に何度も食べていたことを思い出します。

そしてタイ料理を習い始めて、ナンプラーやシーユーカオと同じぐらい、このシーズニングソースもよく使うことを知りました。材料を見ると…

醤油(大豆を含む、トウモロコシ)84%、砂糖5%、食塩3%、調味料(核酸)

とあります。砂糖が入っているあたり、たまり醤油みたいな感じでしょうか。

シーズニングソースの使い方

煮たり焼いたり炒めたり、いろいろなお料理に使うシーズニングソースですが、肉に下味を付ける際にこちらを加えると、タイ料理らしい風味に仕上がります。

で、私はこちらの調味料、実は最近目玉焼きを食べる際にかけるのがお気に入り。全然タイ料理じゃないのですがオススメですよ。

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白胡椒(プリックタイカーオ/พริกไทยขาว)

タイ料理には断然「白胡椒」!

日本で「胡椒」と言ったら、例の「テーブル胡椒」もしくは「黒胡椒」を指しますが、タイ料理で多用するのは断然この「白胡椒」です。瓶詰めされたパウダータイプのものも売られていますが、私はこの粒のものをストックしています。

胡椒の果実を緑色の未熟な時点で収穫し、皮ごと乾燥させた「黒胡椒」は辛味と香りが強いのが特徴。肉料理や味付けの濃い料理に用いられるのはこちら。

それに対して「白胡椒」は果実が赤色に完熟したものを収穫し、果皮を取り除いてから乾燥させています。その果皮を取り除く際、水に浸して発酵させるそうで、そのためかこの粒白胡椒には特有の香りがあります。

タイ料理における「白胡椒」の使い方。

で、この白胡椒、粒のものをストックしていると言いましたが、使う際には結局こうして石臼でガンガン叩き潰してしまいます。だったらパウダーを買っとけ!という声も聞こえてきそうですが、叩きたての白胡椒は香りが良いんですよ。

このパウダー状にした白胡椒はこのまま料理に風味付けとして加えることもありますが、たいていは他の食材を加えてさらに叩き、そこに調味料を加えてペーストにしてから使います。

タイ料理に使う基本の食材を10選べ!と言われたらメンバー入り確定の白胡椒ちゃんです。

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ナムプラー(น้ำปลา)

うま味たっぷりのタイの魚醤「ナムプラー」

タイ料理に詳しくなくとも「ナムプラー」という調味料は知っている、という方、結構多いのではないでしょうか。この「ナムプラー」はもちろんタイ語。 タイ語でnamは水、plaは魚を意味します。

魚を塩で浸けこみ、1年程度熟成発酵させて作った調味料です。日本にも秋田の「しょっつる」、能登の「いしる」といった魚醤がありますが、塩味だけではなく、深いうま味があるのが特徴です。

タイ料理で何に使うって、ヤムやゲーンの味を決めるのはこのナムプラーだし、肉の下味を付けるのにも欠かせないし…。とにかくこの調味料なしにタイ料理は完成しません。タイ料理を作るならまず一番に揃えたい調味料です。

迷ったらとりあえず「金色天秤」を選んでおきましょう。

最近日本でもタイの複数メーカーのナムプラーが入手できるようになりました。そうなるとどれを選べば良いか問題が発生するわけですが、迷ったらとりあえずこの「天秤」のゴールドを選んでおきましょう。

この「天秤」のナムプラーはグレードによってラベルと蓋の色が異なります。この金のラベル、金の蓋がいわゆる「一番搾り」。上澄みのいいところだけをボトリングしています。しかも2年熟成させているらしいです。

で、この天秤ナムプラー、日本のスーパーでは白い蓋の小瓶が売られていますね。蓋の色は白ですがラベルは金色。よってこの金蓋と中身は一緒です。


私はタイでボトリングされたものを購入していますが、今までは700mlの大きなものしか見つけられず、やむを得ずそれを購入していました。


がしかし。それだと開封してから使い切るまで数ヶ月かかるのですよ。ナムプラーに限ったことではありませんが、調味料は開封した時から劣化が始まります。特にナムプラーは日に日に風味が変化してしまう。加熱しないお料理にも使うことを考えると、できれば1ヶ月以内に使い切りたい!そんなときに見つけたのが、先の写真の300mlのハーフボトル。お値段も140円と可愛くて、最近は常時こちらをストックしています。