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5)煮物・蒸し物

サークサイムー(สาคูไส้หมู)

豚肉餡入りタピオカ団子、これはオヤツか惣菜か。

こちら、西荻窪にあるタイ料理店「ハンサム食堂」のサークサイムー。

豚ひき肉にたっぷりのココナッツシュガーやナムプラー、炒って砕いたピーナッツなどが入った餡を小さい粒のタピオカで包んで蒸しあげたタイ料理「サークサイムー」。タイでは小腹がすいた時に食されることも多い、おやつポジションの料理です。

このお料理、ちょっと点心っぽい感じがするので中華系がルーツかなとも思うのですが、ココナッツシュガーとナムプラー、そしてトッピングのニンニク油とプリッキーヌでそこはしっかりタイ味になっています。

サークサイムーの作り方

まずは中に詰める肉餡の作り方からご紹介したいところですが、なぜか写真が見つかりません。おかしいな、撮ったはずなのに。小一時間探しても見つからなかったので、代わりに以前「タイ料理教室diidii」で作った際の様子をごらんください。

タイトルは「パッキーマオ」になっていますが、この回のメニューの一つがサークサイムーでした。

ひき肉がそぼろ状、というよりは、加えたココナッツシュガーによって飴状になるまで練り上げ、粗熱が取れたら一口大に丸め、そこにぬるま湯でふやかした小粒タピオカをまぶしていきます。

これを蒸気の上がった蒸し器に並べて、周りのタピオカに透明感が出るまで火を通すことしばし。12分ぐらいかな。

火を通す前はいまいちに見えましたが、艶々タピオカのおかげでこの通り!美しい仕上がりになりました!

葉物野菜と食べるとおいしいよ!

いろいろな食べ方があるかと思いますが、ニンニク油と付け合わせのお野菜は個人的に絶対欲しいところです。てっぺんに乗せたプリッキーヌは見た目的には必須。ですが、食べるかどうかはお好みでどうぞ。

さらにこのお料理、冷えるとタピオカがカチカチになってしまうので、作ったらすぐに食べることをお勧めします!少なくとも、常温で放置できる時間の中で食べきりましょう。

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4)和え物・サラダ・ディップ

ロンネーム(หลนแหนม)

簡単にできる!「ロンネーム」の材料

タイには「ネーム」と呼ばれる発酵食品があります。豚肉がその主な材料ですが、発酵過程で生じる酸味が特徴で、火を通さずに食すことができるものです。がしかしこのネーム、火を通しても美味で、私はこのネームを使ったタイ料理が大好き!その一つである「ロンネーム」はタイ人が大好きなディップになります。

材料はほぐしたネームと叩いた豚肉、

そこに野菜…というよりは、主に香りや風味をプラスすることが目的と思われるホムデン、レモングラス、ししとうにプリッキーヌ、バイマクルーが入ります。

タイの料理動画を見ていると、ししとうではなく色とりどりの唐辛子?ピーマン?的なものを使っているのをよく見かけます。あれに辛味があったら…と思うと想像しただけでドキドキしますが、見た目はとても美しいです。

このディップのベースになるのはココナッツミルク。ゲーン(カレー)に用いるものよりも重めのココナッツクリームを使うと美味。ネームがこのディップ全体の味の方向性を決めてくれるので、加える調味料は割と控えめです。

ロンネームの作り方

ロンネームの作り方はとにかく簡単。まずは肉類とココナッツクリーム、調味料を鍋に入れて火にかけます。

ふつふつと沸騰してきたら残りの材料をすべて加えて…

1分加熱したらできあがり。鍋を火にかけてからここまで5分…はちょっと無理があるとしても、10分はかかっていません。

今はまだレシピを見ながらなので、材料を揃えて切って…に時間を割いていますが、これ、慣れてしまったらものすごく簡単にできるタイ料理です。間違いない。

สูตร หลนแหนม พร้อมวิธีทำโดย chubbylawyer – Wongnai Cooking

เมนูเครื่องจิ้มรสชาติเปรี้ยวๆ มันๆ – Wongnai Cooking

本場タイの作り方もどうぞご覧ください。

ロンネームにはたっぷりの新鮮野菜を!

タイ人はこのディップ系のお料理「ナムプリック」が大好きで、私自身これまでに30種類以上のナムプリックを習いました。いずれもたっぷりの野菜やハーブと共にお皿に盛り付けるのがお約束。

そうそう。タイでこういうディップ的なものは「ナムプリック」と呼ぶのが通常なのですが、ベースにココナッツミルクを使うものについては「ロン」となります。

この日用意したのはにんじんに白菜、ささげにゴーヤ、マイクロキュウリに普通のキュウリ。通年ほぼ夏な気候のタイですから、日本の夏野菜はタイ料理によく合います。

しかも、このロンネーム、野菜だけではなくごはんも進む味。一般的に食欲が落ち気味な暑い季節にこれまたぴったりなお料理です。ちなみに私自身は、一年を通じて高い食欲が安定的に保たれているため、食欲減退とは縁が無い人生を歩んでいます。ありがたきことこの上なし。

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6)スープ・カレー

ゲーンチューマラ(แกงจืดมะระ)

豚挽肉と春雨を詰めたゴーヤのスープ

ゴーヤのあの苦み、味蕾の開発が十分でないまま大人になってしまった私はあまり得意ではありません…どころかちょいと苦手なレベル。ですが、最近はその苦みが控えめなゴーヤが日本でも手に入るようになってきました。ということで満を持してご紹介するのがこちらのスープ、「ゲーンチューマラ」です。

日本語に直訳するとゴーヤのあっさりスープ、といったところでしょうか。入っている具材や調理法まで含めて

  • ゲーンチューマラヤッサイ(ゴーヤの詰め物スープ)
  • ゲーンチューマラヤッサイムーサップウンセン(豚挽肉と春雨を詰めたゴーヤのスープ)

と表現することもあります。

แกงจืดมะระยัดไส้(วิธีทำมะระไม่ให้ขม) by ครัวตุ๊กตา – Pantip

สวัสดีค่ะ ไม่รู้ที่เมืองไทยจะคลายร้อนกันบ้างรึยังนะคะ แต่ที่อเมริกาเริ่มอากาศเย็นแล้วค่ะ คราวนี้ก็หาอะไรร้อน ๆ ซด คล่องคอกันดีกว่านะคะ วันนี้ ชวนมาทำมะระยัดไส้

こちらは「 ゲーンチューマラヤッサイ」で紹介していますね。

上の動画は「ゲーンチュー:マラヤッサイムーサップウンセン」と紹介しています。

ゴーヤのわたを取るのにステンレスレンゲがこの上なく便利な件。

このスープを作るにあたって、ゴーヤのわたをくりぬく必要があるわけですが、その際に大活躍するのが一番小さいサイズのステンレスレンゲです。タイの有名ステンレスメーカー、ゼブラ製。しかも使うのは主に持ち手の部分。


ステンレスレンゲならどのサイズでも良いかというと、さにあらず。今回なんとなく大きいレンゲを使ってみたらやりにくくて、途中でこの小さいレンゲに持ち替えました。

ゲーンチューマラの材料と作り方。

このゴーヤのスープの材料はとてもシンプル。調味料も使うのはたったの3種類。お肉を練る際に加えるシーズニングソースと、スープの味付けにナムプラーとシーユーカオを使うだけ。ちなみに、上の写真で真っ白に飛んでしまっているのは春雨です。

まずは叩いた豚肉と水につけて柔らかくしてから1センチ程度に切った春雨、刻んだキクラゲ、「3人の親友ペースト」、そしてシーズニングソースをボウルにいれてよく混ぜます。

肉ダネをわたをくりぬいたゴーヤに詰め、

鶏ガラスープを沸かして煮込むだけ。

ただ、これを日本のゴーヤで作ると笑っちゃうぐらい苦くなる可能性が大です。ゴーヤそものもはもちろんのこと、その苦みが溶け出したスープは「この苦いスープを飲めば、どんな病も治るのですね!もし治らなかったらどう責任をとってくださるのですか!」と神様に直訴したくなるレベル。それを避けたければゴーヤのみを15分ほど茹でて(もちろん、その茹でた湯は捨てますよ。)から使う、という手があるのですが、そうすると恐らく肉詰めにするのは不可能で…。

ということで結論。このスープを美味しく作りたければ、苦み控えめなゴーヤを何としても入手してくださいませ。

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4)和え物・サラダ・ディップ

クンチェーナムプラー(กุ้งแช่น้ำปลา)

タイ風エビの刺身…というには野菜がたっぷりすぎるタイ料理

「タイ料理教室diidii」のクンチェーナムプラー

クンチェーナムプラーとは生のエビ(クン)をタイの魚醤(ナムプラー)に浸した(チェー)お料理です。これを刺身…と表現するにはあまりにもお皿の上の野菜が多すぎる。タレにも刻んだ香味野菜がもりもり入っていますし。

さらにこの香味野菜たっぷりのタレが激辛!

上の写真は門前仲町にあるタイ料理店「メーピン」さんのクンチェーナムプラーです。これがまぁ辛いのなんのって。あまりに辛くて口にした瞬間意識が遠のきそうに…は大袈裟だとしても、言葉は全く出なくなります。そして脳天から吹き出す冷たい汗。しかもね、これで日本仕様だっていうんだから、本場タイのものは一体どれだけ辛いのか。恐ろしくもあり、一度試してみたくもあり。

いつか、生の美味しいエビがいただけるタイの海沿いの街に行ったら忘れずに食べてみようと思います。

クンチェーナムプラーとゴーヤが仲良な件。

クンチェーナムプラーはタイ語で

กุ้งแช่น้ำปลา

と書きます。このタイ語で検索してみると、本場タイのクンチェーナムプラーがたくさん見られるわけですが、上の写真をご覧いただくと一目瞭然。その大概のお皿に「ゴーヤ」が乗っています。

誰かがあのゴーヤの苦みが辛さを和らげてくれると考えたのか、はたまたあの苦みに整腸作用でもあって、生の海老を食した際のリスクを軽減してくれる…という理由からか、全くもって推測の域をでませんが、とにかくこのお料理にとって、ゴーヤはマストアイテムなのであります。

「クンチェーナムプラーを作る=タレを作る」と考えて間違いなし。

クンチェーナムプラーの作り方ですがこうして野菜を細かく刻んで器に入れ、そこにナムプラーを加えます。

次にライム汁を加えて、野菜と一緒に盛り付けた海老にたっぷりかければ完成。

海老は海老でも伊勢エビで作ったクンチェーナムプラー。

濃厚な風味の甘い伊勢エビの身と辛いタレが本当によく合います!伊勢エビがお手頃価格で手に入った暁には、ぜひぜひ試していただきたい一品です!

海老の他、ホタテや牡蠣で作っても美味しいので、普通にお醤油でいただくのに飽きたらこのタイの激辛ダレ、ぜひぜひお試しください。

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7)スイーツ・ドリンク

プラーヘンテンモー(ปลาแห้งแตงโม)

プラー(魚)とテンモー(西瓜)を組み合わせるタイ人すごい。

วิธีทำ “แตงโมปลาแห้ง” ของว่างชาววังโบราณ กินทีไรชื่นใจจนไม่อยากวาง – Wongnai

เข้าครัวมาทำของว่างชาววัง “แตงโมปลาแห้ง” เมนูดับร้อน เย็นชื่นใจ ทำง่ายเพียง 3 ขั้นตอน ถ้าพร้อมแล้วมาดูวิธีทำกันเลย – Wongnai

日本において果物は甘味。食後だったりおやつの時間にだったり、果物をそのままいただくのが普通です。調理するにしても出来上がるのはやっぱりスイーツ。

タイでももちろんそのような食べ方はしますが、普通にヤム(和え物、サラダ)に加えたり、ゲーン(カレー)の具材にしたり、炒め物に加えてお肉と一緒に食べちゃったりします。「酢豚に入っているパイナップルが許せない族」の方々がそんなタイ料理を見たら、憤慨、あるいは卒倒すること間違いなしです。

してこのプラーヘンテンモーは

  • プラー(魚)
  • ヘン(乾いた)
  • テンモー(西瓜)

ということで、何とお魚をフライパンでカラカラに炒って、砂糖なんかを混ぜ込んでふりかけにし、西瓜にかけて食べちゃおう!というお料理なのです。

プラーヘンテンモーの材料

こちらがプラーヘンテンモーの材料です。本場タイでは、「ปลาช่อนแดดเดียว」というお魚を使う模様。でこのお魚、日本語にどう訳すか調べても一発で出てこなかったので、一度英語にしてみました。したところ「Single sun snakehead」と出ました。

どうも雷魚のことを「ปลาช่อนแดดเดียว」というようです。ただタイ語のまま検索をかけるとこんな画像ばかり出てきます。

それだけ、この雷魚はタイにおいて開いて揚げた状態で見かけるのが一般的なのだろうと理解しています。

プラーヘンテンモーの作り方

最初に貼り付けた「Wongnai」に飛んでしまえば写真付きで詳しい作り方が書いてありますが、こちらでも簡単にご紹介。まずは焼いたお魚を石臼でふわふわになるよう軽く叩きます。

叩いたお魚をカラカラになるまで炒めたら火を止め、揚げたホムデン(紫小タマネギ)、砂糖、塩少々と混ぜ合わせればこのとおり。

甘塩っぱいお魚ふりかけができました。あとはこれを好きなだけ西瓜にかけて。

一度食べたら癖に…私はなりました。これから先、西瓜の季節を迎える度にこのお魚ふりかけを作ることになりそうです。

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6)スープ・カレー

ゲーンケーガイ(แกงแคไก)

北タイの郷土料理「ゲーンケー」

แกงแคไก่ อาหารเหนือพื้นบ้าน ที่อัดแน่นไปด้วยคุณค่าทางอาหาร

ถ้าใครยังไม่เคยลองทำอาหารเหนือ อยากลองเข้าครัวทำอาหารเหนือบ้างจัดให้ค่ะ วันนี้ทีมงาน Amarin Cuisine มีเมนู แกงแคไก่ อาหารพื้นบ้านภาคเหนือมาให้ลองทำกัน

「ゲーンケー」は北タイの郷土料理です。タイ語で「ゲーン」はカレーや汁物を意味し、「ケー」はバイチャプルー(ハイゴショウの葉)を指すタイ北部の方言だそうです。

「ゲーンケー」のタイ語「แกงแคไก」で検索した画像を眺めてみると、とにかくこのゲーンが具沢山だということがわかります。

個人的に好きでよく眺めているこちらの本には「料理の味や具材などをどうすればよいか人々に聞くと何でもよいという答えが返ってくる」「ゲーンケーに入れるべき決まった食材はなく、ゲーンケー唯一のルールは家にあるものを集めて作られるべきだということだ」とあるので、日本でいうところの「冷蔵庫の残り物をいろいろ入れちゃった汁物」という感じのお料理なのでしょう。

ちなみに、このゲーンには必ずお肉が入るのですが、先に紹介した本では「炭火で焼いたカエル」で作っておりました。そんなもんあるかーい。ということで、今回はポピュラーな鶏肉で作ってみます。

今回のゲーンケーに入るお野菜セットリスト

実際のレシピを調べてみると、北タイで「ケー」と呼ばれるバイチャプルーはもちろんですが、「パックペット」という名の辛味のある葉野菜、チャオム(これまたタイ料理を良く知っている人にしかわからないであろう臭い葉)、パクチーファランに瓜の葉、カーの葉っぱ…などに加えて、ナスの類いやささげ、ジャックフルーツ、キノコ類などなど、とにかくたくさんの野菜が入る模様。

ですが、今回はそういったタイならではのお野菜を揃えることはせずに、夏の日本で手に入るお野菜をふんだんに入れて作ってみることにしました。あれもこれもと欲張ったら、用意すべき分量(グラム)の軽く1.5倍になってしまいました。さて、どうなることやら。

ゲーンケーのペーストはこんな材料でできています。

このカレーのペーストの材料はとてもシンプル。他のタイカレーペーストに入るようなスパイス類はほとんど入りません。ゲーンパーのペーストと材料的には近い感じです。

ただ一つ特徴的なのはマックエン(花山椒)が入ることでしょうか。レシピによってはほかにカーを入れたり、プラーラーを入れるレシピもありました。

ゲーンケーガイの作り方。

こちらが今回の「ゲーンンケーガイ」のオールキャストです。

ちなみに、こちらのレバーはどこのレシピにも書いておりませんでしたが、個人的に好きなため、入れるべき肉の量を減らし、その分をこのレバーに置き換えました。下処理をささっとすれば臭みもなく、美味しくいただけますよ。

ペーストを作り、材料を全て切ってしまえばここからはあっという間です!

①フライパンに油を敷き、ペーストを加えたらよく馴染ませてから火にかけ、
中火で2分程度炒めます。

②次に鶏肉を加えて、ペーストを肉全体にからませます。ドックニュウ(木綿の花)はこれが入った料理写真を見かけて途中で投入を決めました。

③水を加えて沸騰させます。

まだ野菜類を全然入れてないのに鍋がいっぱい…。これはまずい。

⑤次にキノコや野菜類を入れ、蓋をして5分ほど煮ます。

蓋、しまってないね。


⑥最後にナムプラーと少しの砂糖で味を調え、2分ほどさっと煮たらできあがり!

相変わらず少量を作るということができませぬ。今回も軽く6人前が完成しました。週の半分は一日二食、このゲーンケーガイをいただきますよ。

いろいろなお野菜やハーブ類が入ったゲーンケー、マックエンの爽やかな香りも加わって非常に軽いです。辛さもそれなりにあるのですが、体に良いものを摂取している感じがして、食べていてとても気持ちが良いお料理です!

お野菜なら何を入れても間違いなく美味しい「ゲーンケー」。これからは中途半端にお野菜があれこれ残ったら、このゲーンにしてしまおうと思います。

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7)スイーツ・ドリンク

カノムチャンバイトゥーイ(ขนมชั้นใบเตย)

「カノムチャン」は縁起を担いで9層にしよう!

「カノム」はタイ語で「お菓子」、「チャン」は「層、階段」を意味します。タイ料理はお菓子であっても見た目や使われている食材、調理法がそのまま名前になっていることが多くて助かります。

今回のカノムチャンは9層になっていますが、 タイでは「9」は「ガーオ」と言い、発音の似た単語「ガオナー(前進・進展)」を連想させ、縁起の良い数字だとされているんですって。ということでの9層です。

名前の後半の「バイトゥーイ」は「パンダンの葉」。 この葉っぱ、スリランカ料理でも「ランぺ」という名でしばしば登場するのですが、東南アジア諸国ではこの葉の持つ甘く芳醇な香りが重宝され、お料理の香り付けとして用いられているようです。タイ料理に関して言うと、香りだけではなくこの葉の持つ美しい緑色をお菓子作りの際に生かします。

まずはパンダンリーフの色と香りをエキスにしましょ。

「パンダンリーフ」って簡単に言うものの、普通は見ないですよね、こんな葉っぱ。私もタイ食材店以外で売っているのを見たことがありません。見た目通りこの葉は繊維質でバリバリしていてなかなか切りにくいです。

これをミキサーにかけて細かく…したかったのに、一筋縄ではいかなかった(涙)。これさ、バイタミックスとかだったらもっとスムーズにいくんでしょうか

もう思わず買いたくなりましたよ。でもその衝動をぐっと抑え、ふたを開けてはスプーンでつつき、かき混ぜを繰り返すこと十数分。

何とか必要量のパンダンリーフ液の抽出に成功しました。そう。水をたくさん入れればもちろんミキサーはスムーズに回るのです。がしかし。濃い緑色にするために、水を余分に加えるわけにはいかなかったのです。いやー苦労した。

粉を練りに練って、ココナッツミルクで溶くという驚愕の工程!

カノムチャンづくりに使うのは上から米粉、タピオカ粉、くず粉の三種類。これを適宜ブレンドしまして、水を加えて練ります。手でこねる場合は手のひらの付け根に力をかけ、そこで生地を前に押し出すようにギュッギュとこねていきます。その時間、最低でも15分。ですが、以前ベーグルづくりにはまって腱鞘炎になった過去をもつ私は、その際に「キッチンエイド」という救世主を我が家に迎えました。

もう15年以上使っていますが、いまだに元気です。ありがたい。

ということでキッチンエイドでこね始めたのですが、これがまたパン生地のようにうまくいかず。羽の種類を変えたり、スピードを加減したりしながら、なんとか納得の状態までもっていきました。

そして。せっかく時間をかけてこねた生地をなんと!ココナッツミルクで溶いてしまうのです。ああ無常。。。でもね、この「捏ね」の作業を入れないと、もっちりとした食感にはならないんですって。理系に強い方に、科学的な説明をお願いしたい。

こうしてできた生地の重さをはかり、「5:4」に分けます。

上から「緑・白・緑・白…」の9層カノムチャンにするため、「5」の方にバイトゥーイ液を加えます。最後はいよいよ「蒸し」の作業です!

「緑」3分「白」3分「緑」3分…(の地味な)繰り返しが生み出す美しき9層

蒸し器にたっぷりの水を加えて沸騰させます。型もあらかじめ入れて熱々にしておきます。そこに「緑」を加えて、

蓋をして3分加熱。

お次は「白」を加え、また蓋をして3分、この作業を9回繰り返すわけです。さすればこの通り。

後は冷ましてから取り出して切るだけ。カノムチャンバイトゥーイの完成です!

タイ式ういろう「カノムチャン」。お行儀が悪いですが、1層ずつ剥がして食べるのが好きです。

ココナッツミルクは油分を含んでいるため、このように難なく型から取り出すことができます。

見てください、この美しい断面!頑張った甲斐があったわー。そしてこのカノムチャン、もちろん菓子切りで上から下まで9層一気にいっちゃっても良いのですが…

個人的にはこうして一層ずつ剥がして食べるのが好きです。結果、菓子切りは添えただけで一切使用しておりません。

ココナッツミルク風味なので、もちろん日本のういろうとは違いますが、その食感は非常によく似ています。時々無性に食べたくなる、できれば買って食べたいタイ式ういろう「カノムチャン」でした。

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7)調味料・香辛料

プリックチーファーヘン(พริกชี้ฟ้าแห้ง)

タイの乾燥唐辛子

タイでは70を超える種類の唐辛子が栽培され、食されていると聞きますが、その中でも多くの人にとって馴染みがあり、タイ料理に欠かせない唐辛子の一つがこちらのプリックチーファーヘンかと思います。

「プリック(พริก)」は「唐辛子」、「ヘン(แห้ง)」は「乾いた」という意味。「チーファー(ชี้ฟ้า)」はGoogle先生によると「空に向かって」という意味だそうで、想像するにこの唐辛子が実った時の様子からきているものと思われます。

この唐辛子を使う際の下準備

この唐辛子を使う際にはまずこうして実を開き、

中の種や筋をきれいに取り除きます。

その後数ミリ幅に切り、こうしてしばらく水につけ、柔らかくします。

最後に水気をぎゅっと絞って石臼へ。あとはこれをひたすら叩きましょう。

タイ料理の赤系ペーストには欠かせないプリックチーファーヘン

タイ料理には様々なカレーペーストが存在しますが、赤い色をしたペーストにはほぼこの唐辛子が使われている、といって過言ではないでしょう。

前述したようにまずこの唐辛子のみをひたすら叩き、滑らかになったところで他の材料を水気の少ないものから順に加えていき、クロックでさらに材料を叩いてつぶしてペーストを完成させます。

とまあね、書くのは簡単なのですが、これが作るとなるとかなりの労力と精神力を要します。気分よくタムタム材料を叩ける日もありますが、私の場合、遠い眼をして叩いていることの方がおおいです。そうそう。何か忘れてしまいたいことがある日にももってこいですよ、この作業。

…と話が横道にそれてしまいましたが、今回はタイ料理に欠かせない大切な食材の一つ、プリックチーファーヘンのお話でした。